ロスチャイルド家の歴史と背景
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鉄道が運ぶ新時代

ロスチャイルド家は、産業革命の広がりによりさまざまな産業に目を向けだします。その一つが鉄道です。1781年にジェームズ・ワットが蒸気機関を完成させ、1814年にジョージ・スティーヴンソンが蒸気機関車を発明。その後、初めての鉄道が実現したのは、1830年の出来事です。

当初は静観を決め込んでいたネイサンですが、あまりの騒ぎに興味をそそられ、事業に手を出そうとするも、時すでに遅し。既にあらゆる権利が他に奪われている状態でした。そこで、ネイサンは他の兄弟に鉄道の盛り上がりとその将来性を語り、それぞれの国で鉄道建設の利権を確保し、融資するべきと勧めます。

こうして、他の事業家を出し抜く事にまんまと成功したのです。この時の鉄道への投資は、産業革命の恩恵をヨーロッパ中に広めることとなり、人々を新時代へと導くきっかけとなったのです。

フランス二月革命による苦戦

1848年に起きたフランス二月革命により、ロスチャイルド家はかつてないダメージを被ることとなります。ナポレオン・ボナパルトの甥であるルイ・ナポレオン3世は、これまでには無かった民主的な銀行である「動産銀行」を設立し見事に成功。次々とこの“新しいタイプの銀行”を創設していきます。また、これらの銀行は各種産業への融資も行ったため、ロスチャイルド家の出番は減ってしまいました。さらに、二月革命の影響により、ハンガリーのロスチャイルド家別邸は襲撃を受け、長男アムシェルが守るロスチャイルド本家が民衆の怒りに巻き込まれます。とうとう没落か…とも思われましたが、無事だったロンドンの分家が、苦境に立っている分家を助けることで、何とか困難を乗り切ることができたのです。