ロスチャイルド家の歴史と背景
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変化をチャンスに変えて

しかし、こうした激動の時代にあってもなおチャンスが巡ってくるのが、ロスチャイルド家の運命であるようです。パリ分家はフランス北部鉄道とロイヤル・ダッチ・シェルとの事業を継続していましたが、戦後復興の本格化に伴い、この鉄道を中心とした建設業や運輸業が活気を見せ、再び資産が膨れ上がっていったのです。また、1908年に現在のイラクで発見された油田は、ほぼ無尽蔵の埋蔵量を誇っていたため、ロスチャイルド家が投資していた帝国化学産業は石油化学の発展とともに爆発的な成長を遂げることとなりました。公債の魅力がなくなり、好ましくないとされながらも乗り出さざるをえなかった国内産業への投資が、ここへ来て大きく当たった、というわけです。

恋愛と王冠

王位に就いたばかりだったエドワード8世は、愛するアメリカ人女性ウォーリス・シンプソン夫人のため、1936年に退位し、ウィーン・ロスチャイルド家のオイゲン男爵が住まう、オーストリアのエンツェスフェルト城へ旅立ちました。この出来事は、エドワード7世以来続いていた英王室とロスチャイルド家の親密な関係、その格式の高さを世界に見せつけたのです。しかし、その1年3ヶ月後、オーストリアはドイツの侵攻を受けることとなります。