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ヨーロッパ石油業界の再編演出
パリ分家のアルフォンスは、1883年、ロシア政府の財政を助けた見返りとして、コーカサス地方のバクーでバニト油田を手に入れました。一方、アメリカのスタンダード石油は世界の石油を支配するための足掛かりとして、まずはヨーロッパへ進出を仕掛けます。これに対抗し得る体力と販売用石油を確保するために、イギリスのシェル運輸貿易会社とオランダのロイヤル・ダッチ石油会社が合体し、1906年にロイヤル・ダッチ・シェル石油が誕生します。さらに、販売用石油の確保を目的として、1914年、ロスチャイルド家が所有していた前述のバクーの油田を買い取り、ヨーロッパ石油業界が再編されることとなりました。アメリカからの企業進出を阻止するために、ロスチャイルド家は自らの油田を売り、再編を演出したと言われています。
フランクフルト家、没落
19世紀末、時代の変化を敏感に感じ取ったロスチャイルド家は、その体質を変えながら順応を果たしてきました。ところが、ドイツのフランクフルト本家だけは時代の変化に乗り遅れてしまいます。ドイツプロシャ帝国がベルリンに首都を置いたことで、金融業の中心がベルリンになる時代が到来しましたが、ロスチャイルド本家はフランクフルトから動こうとしませんでした。また、新しい商売にも目を向けなかったために、業績も悪化してしまいました。そして、1901年。ついに、フランクフルト本家は没落してしまいます。