ヨーロッパ各地で迫害を受けたユダヤ人

13世紀のイギリスでは、ヘンリー三世がユダヤ人を迫害するだけでなく、居住さえも禁じました。また、14世紀にはペストの流行がユダヤ人のせいだとされ、襲撃を受けたうえに、おびただしい数のユダヤ人が虐殺される、という痛ましい事件もありました。さらにこれと時を同じくして、フランスでもユダヤ人への迫害が行われ、国外追放となったユダヤ人たちはスペインへと移住します。しかしここでも、強制的な改宗や異端審問裁判といった迫害を受け、1492年3月31日には再び、国外退去を命ぜられることとなったのです。

そして、金融王国を作り上げたロスチャイルド家

以上のように、ロスチャイルド家の祖先がユダヤ人特別居住区に押し込められ、そこに生まれたマイヤーもまた、一般の民衆から蔑みの声を浴びせられる…といった構図は、長い時間をかけて形成されてきた差別によるものです。しかし、それでも彼はその境遇に甘んじることなく商売に励んで財を成し、彼の息子たちはヨーロッパ一どころか世界一ともいえる金融王国を築き上げたのです。