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ユダヤ人であるというだけで
驚嘆すべきロスチャイルド家の繁栄は、一族の忍耐強さと強靭な意志によって成された、ということは厳然たる事実です。しかしその裏には、長い年月にわたって虐げられてきたユダヤ人の想像を絶するような屈辱や、なんとしても底辺から這い上がりたい、という願望もまた、確かに存在しています。初代マイヤーが誕生した18世紀頃のユダヤ人は、業種組合であるギルドへの加盟が認められないばかりか、土地の所有が許されず、その居住地域までもが制限され、挙句の果てには人間としての扱いすら受けることができませんでした。つまり、人間として生きてゆくために必要なあらゆるものごとに、過酷な制限が課せられていたのです。
ユダヤ人の迫害は、近代に始まったものではなかった
初代マイヤーが住んでいたフランクフルトは、比較的ユダヤ人への風当たりが強いところでした。しかし、ユダヤ人への差別・蔑視はフランクフルトに限ったものではなく、長い時間をかけて、ヨーロッパ全土で形作られてきたものです。ユダヤ人の歴史は4000年とも言われていますが、彼らがヨーロッパ各地に離散を始めたおよそ2000年前から、彼らへの迫害が始まったとされています。